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結納について
結納の名前といわれ
結納は「ゆひのも」といって、両家を結びつけるという意味の言葉からきている日本古来の婚約の儀式。元々は両家が婚姻関係を結ぶために飲食する酒肴を指した。起源はなんと仁徳天皇の時代までさかのぼり、庶民の間でも行われるようになったのは明治時代。そんなわけで、この長い歴史の間に儀式の内容は地方や家によって変化し、現在では儀式としての意味合いより両家の初顔合わせを目的にしたスタイルも。いずれの方法をとるにしても、両家でよく相談して決めること。

結納の準備
結納品の数は9品目が最高だが、最近では略式の7品目(9品目から勝男節、家内喜多留を除く)、
5品目(7品目から寿留女、子生婦を除く)で行う人も増えている。
結納品は両家が同じ数で揃えたほうがよいので、事前に何品目にするか相談しておこう。
関東の場合は、大きな台に9品の結納品を全部並べた1台飾りが多い。
値段はさまざまだが、9品目なら2万~3万円くらい、7品目なら2万円くらいが目安。
結納品は、デパートや式場、ホテルで購入できる。
目録(もくろく)
  結納品の品目と数を記した物。目録は贈り物ではないので、水引はつけない。

長熨斗(ながのし)
  熨斗鮑(のしあわび)は長寿の象徴とされていることから、鮑の肉を干して長く伸ばしたものを入れる。贈り物につける「のし」の意味も。

金宝包(きんぽうづつみ)
  結納金の包み。男性からの結納金の表書きは「御帯料(おんおびりょう)」、女性からのものは「御袴料(おんはかまりょう)」とする。

末広(すえひろ)
  白い扇子一対(2本)。末広がりに開く白い扇に、「純白無垢」と「末広がりに幸せに」という思いが込められている。「寿恵広」とも書く。

友白髪(ともしらが)
  「友志良賀」とも書く。白い麻糸を白髪に見立てたもので、「ともに白髪になるまで丈夫で仲睦まじく」という願いが込められている。
子生婦(こんぶ)
  「よろこぶ」に通じる一品。また「子生婦」と書くことにより、「子宝に恵まれるように」という意味も込められている。「子布婦」と書くことも。

寿留女(するめ)
  するめは昔から祝い事にはつきものの酒肴品。「するめのように長持ちする嫁になってほしい」という意味がある。

勝男節(かつおぶし)
  「勝男武士」「松魚節」とも書き、「強い男に」という意味が込められている。

家内喜多留(やなぎたる)
  柳の酒樽のことで、「家内に喜びが多く留まるように」という願いが込められている。実際に朱塗りの酒樽を贈る地方もあるが、一般的には「酒肴料」として現金を包む。そのまま「柳樽」と書くことも。

仲人さんの依頼
最近は仲人さんなしで両親と本人たちだけで行う略式結納式を行う場合も増えているが、もし正式に結納式を行うならば、両家の仲立ちをしてくれる仲人さんが必要となる。その際、結納だけの仲人なのか、結婚式の媒酌まで依頼するのかを考えて選ぶこと。お願いする方が決まったら、あらかじめ先方の都合を伺った上で、ふたり揃って訪問し、正式なお願いをする。場合によっては両家どちらかの親が同行するのが望ましい。

結納式の場所
かつては仲人が両家を往復して結納品を取り交わすのが一般的だったが、現在では、一堂に会して行われることが多くなっている。場所は双方が相談して決めればどこでも構わないが、最近は挙式を予定しているホテルや式場で行ったり、レストランなどで会食形式で行う場合が多いようだ。家で行う場合は仲人宅か女性の家ということになるが、結納式のあとレストランや料亭などに出向いて会食を行うと、祝宴準備の手間も省ける。

結納式の進行
式場やホテルなどで結納を行う場合は、会場の担当者がアドバイスや進行の手伝いをしてくれるが、女性の家や料亭などで行う場合は、全員が儀式の段取りを把握した上で進めなくてはならない。なお、女性の家で行う場合は、手料理や寿司などをとってもてなしを。(仲人立会いのもと、女性側の自宅で両家一堂に会して行う場合)
1. 当日、女性側は前もって結納品を床の間に飾っておく。男性側は自宅から結納品を運び、女性の家へ到着したら組み立てて床の間に飾る。

2. 男性側が両家を代表して仲人に挨拶をする。
本人か父親「本日はお忙しいところをわざわざお運びいただきまして、誠にありがとうございます。ご厚意に甘え、すべてお世話いただくことになりましたので、よろしくお願い申しあげます」

3. 仲人「本日は誠におめでとうございます。本来は私どもがご両家に持参すべきところ、本席を設けていただき、恐縮に存じます。行き届きませんが、お世話させていただきます」

4. 仲人夫人は床の間の男性側の結納品を女性の前に差し出す。
仲人「○○様からのご結納品でございます。幾久しくお納めください」

5. 女性本人は一礼して受け取り、目録に目を通し、受書を仲人夫人に差し出す。
女性「ありがとうございます。ご結納の品、幾久しくお受けいたします。これは受書でございます」

6. 仲人は受書を男性の母親に差し出し、母親から父親に、父親から本人にと順に回す。
仲人「ご結納の受書でございます。お納めください」
7. 男性本人は受書に目を通し、膝元に置く。男性「ありがとうございました」

8. 同様に女性側からの結納の品を男性側に渡し、受書をもらう。やりとりは同じ。
結納の場所で指輪を渡す場合は、ここで男性側の母親が指輪ケースを持ち、男性本人とともに女性本人の前に進み、男性が指輪を女性にはめる。指輪は前もって女性に渡しているケースが多いので、この儀式は省略することもある。

9. 取り交わした結納品はそれぞれ両家が床の間に仮置きしておく。

10. 仲人は結納式終了のお祝いの言葉を述べる。
仲人「ご結納式はとどこおりなく、あいすみました。ご両家様はじめ皆様には、誠におめでとうございます」

11. 両家の父親が仲人にお礼を述べる。
父親「おかげさまで、とどこおりなく結納を取り交わすことができまして、ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申しあげます」

12. 結納式をお開きにして、その後祝宴となる。
祝宴はおおげさな席を設けなくてもよいが、祝い酒を交わすのが望ましい。